そう、思っていた。


「そういえば、なんか風の噂で聞いたんだけどさ、」

人が集まって璃子も環奈ちゃんも来た頃、聖也がふと、思い出したように呟いた。

どうしたのという意味を込めて首を傾げると、聖也は困ったような顔をする。

「なんか、家庭科、3学期から違う先生になるらしいよ」


「…え、」

わたしも、璃子も、環奈ちゃんも、驚いて言葉を失った。

嘘だろと驚くわたしたちに、聖也は「噂だけどね」とそう付け足した。


何も言えずにいると、水をさすようにチャイムが鳴った。

担任の先生が入ってきて、聖也たちが席へと戻っていく。


…3学期から先生が違うって、早野先生はどうなるの…?

今日の家庭科の時に本当なのか聞いてみようかな。

そんなことを考えていたときだった。


「…あ、今日の家庭科なんだけど、自習になりました!

急遽、今週から早野先生が休業することになってね、本当は3学期からだったんだけど」

ごめんねぇ、と付け足して、担任の先生がそんなことを言ったのは。