宛先は天国ですか?




最近はその声で誰が来たとかだいたい分かるようになってきた。

だから、その低い声が誰のものなのか、すぐに分かった。

…まあ、このクラスにいる低い声の持ち主なんてかなり限られてるしね。


「おはよう、聖也」

なるべく気にしないように挨拶をすると、聖也もニカッと笑う。

「佐川おはよう!」

元気よく挨拶をした聖也は、荷物をおいてからわたしの前の席まで来た。

そうしてちゃっかりスマホを覗いてから、前の席に座る。


「誰とメールしてるの?」

仲いいんだねと言ってニヤッと笑った聖也に、わたしはむっとした。

…絶対、誰とメールしてるのか予想ついてるのに聞いてる…。

意地悪に笑う聖也からふいっと視線をそらして、でもボソッと小さな声で「将太さん」と答えた。


わたしの答えに、聖也は少し驚いてから、満面の笑みを浮かべてわたしを見た。

「将太さんってあの人だよな?

想いを告げて、答え聞いて、そのメールってことは…?」