宛先は天国ですか?




それが、わたしの精一杯だった。


なんとか言えて、ホッとしていると、不意に視界が揺れた。

何事かと思うよりも先に、将太さんのぬくもりに包まれていた。


…え、今わたし、抱きしめられてる…?

突然の自体に頭がついていけずにワタワタしていると、頭上からため息が聞こえてきた。

「…良かった、」

将太さんのこぼした小さな声。

心底安心したようなその声が、わたしの頬を緩ませる。

勇気を振り絞った告白が、いい結果に転じて良かったと、わたしは胸をなでおろした。


振られると思っていたから余計に、この結末も、今起こってることも信じがたい。

でも、将太さんに抱きしめられているこの感覚は、嘘じゃないんだ。


なんだか目頭が熱くなり始めて、目に涙が浮かんできた。

今にも泣き出しそうになっていると、将太さんがふとわたしを離した。


「そろそろ、お昼ごはん食べに行きましょうか」

ニコッと笑った将太さんに、わたしも同じよう笑い返して頷いた。

ぽろり、と涙がこぼれ落ちる。