結局離してもらえないまま、相談室の中にまでつれていかれる。
「あれ、佐川さんも何か用事があるのかな?」
帰れと言わんばかりに、早野先生はわたしに微笑みかける。
用事なんてない、むしろ帰らせてほしいのだが。
早野先生にそう反論する代わりに、わたしは聖也を睨みつけた。
「…ん?ああ、佐川は俺が勝手に連れてきただけで、佐川からは何の用事もありませんよ。
俺が、佐川が関係していることについて、先生に言いたいことがあるだけですから」
相談したいことから、言いたいことに代わっていた。
その違和感に気付いたのは、わたしだけでなく早野先生も同じらしい。
不思議そうに、首を傾げている。
「佐川さんが関係してること?」
何それなんて言いながら、早野先生がくすっと笑う。
聖也はそんな早野先生を、真っ直ぐ見据えた。
その横顔は、怒っているようにも見える。


