それから、少し経って、実技テストも着々と近付いてきている頃。
結局璃子とはまたうまく話せないまま、悩みが増えていく。
お礼を言えたら少しは変わる気がするのに、言えないわたしは弱虫だ。
言って、悪い方になにか変わるわけじゃあないのに。
帰り道、ため息をこぼしていると、ふいに誰かが顔を覗き込んできた。
いきなりのドアップに、わたしは驚いて立ち止まる。
学校からまだ出たばかりだから、誰かにそう覗き込まれてもおかしくはないのだけど。
でも、まさか本当に顔を覗き込んでくるとは思わなくて。
「せ、聖也か…、びっくりした…」
胸をなでおろしながら呟くと、聖也が悪い悪いと言ってケラケラと笑った。
…こいつ、絶対悪いなんて一ミリも思ってないでしょう。
「いきなりなに、おどかさないでよ…」


