宛先は天国ですか?




将太さんの回答に、わたしは心の中でガッツポーズをした。

「それなら、来週の土曜日、あのお店でお昼ごはん食べませんか?」

先程のファストフード店を指差しながら提案をする。

将太さんはそのお店を見たあと、

「構いませんが、なぜ?」

コテンと首を傾げてみせた。


…なぜ?


それは話してみたいからで、聞きたいことがあるからで。

あっさりオーケーしてくれるものだと思っていたから少しだけ焦る。


「えっと、」

慌てて目をそらして下を向く。

ぎゅっと鞄の持ち手をつかむ手に力を入れる。


「お尋ねしたいことが、あるんです」

パッと顔を上げてそう言うと、パチリと目が合って頬が熱を帯びていく。

じわじわと火照る頬、きっと今、わたしの顔は赤くなっている。

日が暮れてしまっていて良かったと心底思った。


「尋ねたいこと、ですか」

将太さんは小首傾げながら、聞き返してきた。