翌日、朝登校してくると下駄箱のスリッパの中に紙切れが入っていた。
折りたたまれたそれを開いて、中を見て、字から早野先生からであることを悟る。
早野先生は字も丸っこくてとても可愛らしい。
特徴的だから、だいたい早野先生だと分かる。
内容は、「将太に近付くな」とか「調子乗るな」だとか。
傷付きもしなければ特に大してどうも思わない文ばかりだった。
それでも本人はきっと嫌がらせのつもりだろう。
…内容からも、書いた人が早野先生だと分かるのだけれど。
わたしはそれらを丁寧に折りたたみ直して、鞄の中に綺麗にしまった。
嫌がらせの証拠にするつもりもない。
別に早野先生を辞めさせるつもりもないし、早野先生が辞めたら被害を受けるのはわたしだ。
早野先生は人気者だから、事情を知らない人たちにいろいろ言われるだろうし。


