早野先生だってきっと、将太さんに突き放されても絶対あがくだろう。
納得がいかず怪訝そうな顔をする早野先生に、心の中でそう言った。
しばらく睨み合っていたが、そのうち早野先生の方から視線をそらした。
そうして、わかったわと言った彼女は、カチャンと扉の鍵を開けた。
それから、何も言わずに生徒相談室から出て行った。
それを見送ってから、わたしも慌てて生徒相談室を出て教室に向かった。
教室にたどりつくか否かでチャイムが鳴り、大慌てで席に座る。
運のいいことに先生はまだ来ていなくて、ほっと胸をなでおろした。
…自分が次の授業ないからって、ギリギリまで話さないでよ、もう…。
早野先生に文句を言いつつ、わたしは授業の準備をした。
わたしを見ていた早野先生が、にやりと笑っていたことなんて知らずに。


