宛先は天国ですか?




わたしからの答えを待つ早野先生の目を、射抜くようにして見つめた。

じいっと見つめると、早野先生の方が一瞬怯んだ。


わたしは、そんな先生にちゃんと届くように、声を張って、はっきりと、


「好きだから、ですよ」

将太さんへの想いを告げた。


分かっていたからか、早野先生が驚く様子はなかった。

むしろ、やっぱりと言いたそうな顔をして、ため息すらついていた。

すっかり呆れた顔をして、わたしをまた睨みつけた。


…早野先生はその容姿とは裏腹に、プライドがとても高いようで。

「あんたじゃあ、将太にはつりあわない」

自分ならつりあうと、口角を上げてそう言った。

…分かってるよ、わたしじゃあ何もかも将太さんにはつりあわないってことくらい。


「…でも、つりあわないってわかってても、頑張ることは悪いことじゃないでしょう?」

だって、それはきっと、早野先生だっておんなじはずだ。

叶わなくたって、つりあわなくたって、頑張ることは、あがくことは別に悪いことじゃないだろう。