いきなりの早野先生の発言に、わたしは驚いて何も言えないまま、ぱちぱちとまばたきをした。
…将太さんから離れて“あげて”ほしいとはまた…、なんといえばいいか。
いかにも、将太さんのために言ってますという早野先生の言葉。
わたしは堂々と微笑む早野先生に、ふと首を傾げてみせた。
「どうして、ですか？」
問いかけると、早野先生は少し驚いた素振りをした。
それから、何言ってるのとでも言いたそうにぎこちなく笑う。
「どうしてって、どうしても何もないでしょう」
強く言い返す早野先生に、いつもみたいなふわふわとした雰囲気は感じられなかった。
守ってあげたくなるような、やわらかい雰囲気なんて感じられなかった。
わたしを睨むようにする視線は、強くていっそそらしたくなるくらいだ。
