…うーん、話しちゃってもいいのかな…。
迷いはしたが、まあ今のところ似ているというだけだし、教えても大丈夫だろう。
そんな顔も似てて同姓同名なんてなかなかない話で、ほぼ本人だと思うのだが。
「えっと、この高校の先生なんだけどさ、」
コソッと小さな声で耳打ちすると、聖也は驚いたように目を見開く。
そうして小さな声ながらも、叫ぶようにして、「先生?!」とわたしに尋ね返す。
わたしはそれに、コクコクと頷いた。
ますます誰なのか気になった聖也は、わたしをじっと見つめた。
そうして何も言わず、わたしの言葉を待っている。
「その先生っていうのがさ、」
わたしがそう、早野先生の名前を言いかけると、ガラッと扉が開いた。
わざとらしく音を立てる感じから生徒ではないことは確実だった。
思わず言うのをやめてチラッとそちらに目をやる。
聖也も同じようにして、扉の方に目をやった。


