「もしかして、恋のお悩み?」

少し小さな声で将太さんだっけ、と付け足した聖也。

やはり、いくらわたしが隠していても分かっているらしい。

何も言わずにムッとしていると、聖也はケラケラと笑った。

「隠してても、佐川ってほんと分かりやすいから無駄だよ」

ははっと笑った聖也に、わたしはますますむっと頬を膨らました。


「恋のお悩みというかさ、この間、その将太さんの元カノと会ったんだよ」

わたしが話を切り出すと、聖也は興味津々な顔をして乗り出してきた。

ほうほうそれで、と話に相槌を打ってくる。

それだけで話を済まそうかと思ったのだが、そう言われては話さないわけにもいかず、それで、と話を続けた。

「その元カノがさ、わたしの知り合いによく似ていて、名前も一緒なの」

同姓同名、と言ってため息をつくと、聖也はまじかと驚いた顔をした。

少し楽しそうにも見えるが、気にしないことにしよう。