はっきり、わたしのことは好きじゃないと言われると思っていたから、誤魔化してくれて嬉しかった。
はっきり言う方が夏帆さんを追い返せるだろうけど、わたしとしては誤魔化してくれた方がありがたいし。
やはり、夏帆さんは納得がいかなさそうな顔をして、ギュッと拳を握りしめた。
「じゃあ、せめて、好きな人ができたかどうかだけでも教えて」
夏帆さんは真っ直ぐな目で、将太さんを見つめた。
将太さんはまた一つため息をついた。
「いるよ」
相変わらず冷たい目で夏帆さんを睨みつけたまま、将太さんはそう言った。
「いるから、もう関わってくんな」
そう言って、夏帆さんをまた睨みつけた。
夏帆さんを突き放す言葉に、夏帆さんもさすがに諦めたようで、しぶしぶ引き下がる。
去り際、一瞬わたしを睨みつけていった夏帆さん。
…誰かに似てると思ったら、そうだ、早野先生に似てるんだ。
早野先生はいつも、夏帆さんみたいにがっつりメイクをしてこないから気付かなかったけど。


