それから将太さんは、夏帆さんの掴んでいたところをあからさまに払う。
パンパンと、夏帆さんを拒絶するようにして払った。
その光景を見ながら、開いた口が塞がらない夏帆さんに、将太さんはまた続けた。
「俺はもう、お前のことは好きじゃないんだよ」
いつもほわほわとしている将太さんの、男らしくてはっきりとした口調。
夏帆さんにとっては残酷な言葉なんだけど、変に気のある素振りもせず彼女からの想いを振り払う。
まるで鬱陶しいとでも言うように。
…ごめんなさい、思い切り修羅場なのに、思わずキュンとしてしまった…。
普段の一人称は“私”で、いつもいつも知り合い相手でも敬語を使っていて、優しい気の良い郵便局員さんなのに。
それなのにいきなり自分のことを“俺”って言って、タメ口で自分の思いを、どんなに残酷な言葉だろうと率直に告げる。
それをみてキュンとしないわけがないだろう。


