宛先は天国ですか?




第一、お茶したところでとても話が続かない気がする。


何を話せばいい?何を話したい?

考えれば考えるほど話題が思い浮かばない。


彼はうーんと悩んだあと、大丈夫ですと首を横に振った。

「もう暗いでしょう。

危ないですし、早く帰ったほうがいいですよ」


どうやらわたしのことを気遣ってくれているらしい。

確かにもうすっかり日が暮れていて、危ないといえば危ない。

彼の言うとおり、今日のところは帰ったほうがよさそうだ。


今日は特に居残っていろいろやっていたものだから、いつもより帰りが遅い。

とくに何もせず5時に帰ってきていたなら、まだお茶をする時間もあっただろうけど。


「あ、それに、」

黙ったままだったわたしに、彼は優しく微笑みかける。


少し近づいて見えた彼は、顔からして20代後半だと思われる。