宛先は天国ですか?




将太さんはわたしの回答に、そうですかとふわりと笑った。

特に何も気にしていないみたいで、分からない程度に肩を落とした。

年上って言ったら、少しは何か意識してくれるんじゃないかと思ったのだけれど。


それから、適当な話をしていると、ふとコツコツという音が真隣でやんだ。

誰かがわたしたちの隣で立ち止まったのだと気付き、疑問に思いそちらに視線だけ向けた。

将太さんも同じように、そちらへと目をそらして、顔を歪めた。


「将太っ、」

語尾を弾ませるようにして、その人はふんわりと優しいえみを浮かべ将太さんの名前を呼んだ。

ヒールを履いた、ふわふわした雰囲気の女の人だ。

なんか、見たことがあるような、ないような。

誰だっけなぁと考えていると、将太さんが怪訝そうな顔をした。


「久しぶりですね、夏帆」

将太さんに名前を呼ばれて、その人は嬉しそうに微笑んだ。