家に帰るときはいつもたいてい近くにいた人と帰る。
璃子は毎日部活だから、環奈ちゃんと帰ることが多いのだが、なにしろ環奈ちゃんとは反対方向。
一緒に帰れるのは駅までなのである。
第一、使う電車の組み合わせからして、わたしとまったく同じ電車を使う人はクラスに2人くらいしかいなかったはず。
その2人とも、部活があるのだが。
「…うわ、もうそろそろ5時じゃん」
駅の近くで時計を確認して、大きくため息をついた。
今から帰って、向こうの駅につくのがだいたい6時。
家から1番近いポストまで歩いて5分とはいえ面倒くさい気もしてきた。
でも、やっぱり手紙の返事が欲しいから、出さないと。
愛おしい相手からの手紙とはそれだけでやる気が出るもので、わたしの背中を押してくれるから。
結局ポストまで足を運んだわたしは、少々躊躇いながらもポストに手紙を入れようとした。
その、瞬間だった。
「あの、」
声をかけられて、思わず手紙を入れようとしていた手を止めた。


