それでもって、わたしの高校初めての友人である璃子は姉御的存在。
璃子とは入試の際に番号が隣だったことがきっかけで仲良くなった。
黒と焦げ茶の間の、肩より少し長い髪をいつもおろしている。
結んでいるのは体育の前後から校内実習のある日くらいだ。
他の子もそうだけどいい人たちばかりで、このクラスは本当に過ごしやすい。
中学校よりもずっとずっと、過ごしやすくて、心地よくて。
もっともっと、本音を話したっていいはずなのに、素直になればいいのに。
「そういえば、環奈ちゃん、彼氏とはどうなの?」
「えー、いつも通りだよ。暖々ちゃんは好きな人とかいないの?」
「…、いないよ」
ほら、また、タイミングを逃して言えずじまい。
嘘だよ、本当は好きな人いるんだよ。
顔も知らないけど、会ったことなんてなおさらないけど。
だけど、その人のことすごく好きなんだよ。
言えたはずなのに、言うタイミングを自ら逃す。


