宛先は天国ですか?




璃子は相変わらずわたしをじっと見つめたままで、険悪になってきた雰囲気に環奈ちゃんがおろおろとする。

まあまあと璃子を宥める環奈ちゃんだが、璃子からの視線は鋭いまま。

「暖々はさ、」

何か言おうとした璃子に、胸がぎゅうっと締め付けられるような気がした。

続きを聞きたくないような、そんな気がして目をそらすと、

「…あ、喧嘩中にごめんねー」

ふわっとした声が頭上から降ってきて顔を上げた。


「あれ、もうそんな時間?」

環奈ちゃんが問うと、その人は少し眉を下げて「そうじゃないんだけど」と微笑んだ。


相変わらずふわふわとした雰囲気の、家庭科の早野先生だ。

「…先生、顔色悪いよ?」

普段よりもずっと調子が悪そうな早野先生に声をかけると、先生は「そうなんだよね」と悲しそうな顔をした。

「最近ちょっと体がだるくてね、寝不足かなぁ…」

ため息混じりに肩を落とす早野先生。

その仕草一つ一つが可愛らしくて、微笑ましい。


「ちゃんと寝なきゃだめだよー」

先程までの険悪なムードが消え、璃子が心配そうに早野先生に声をかけた。