宛先は天国ですか?




璃子の冷たい態度に、環奈ちゃんはぷくっと頬を膨らました。

「暖々ちゃんは分かるでしょう?」

ほらほらとニヤつく環奈ちゃんも、いやはや様になっていて美しい。

美しいんだから、わざとでももう少し可愛らしい性格にすればいいのに。


「あー、前髪切った?」

なんとなく短くなった前髪を指差してそう言うと、環奈ちゃんは「さすが暖々ちゃん」と言って肩を組んできた。


「前髪さ、長すぎると実習の時に不便じゃん?

そろそろ洗髪もあるから、後ろの髪も切ってきたの」

ふふっと綺麗に笑っては、可愛いでしょうなんて迫ってくる。


…そう、環奈ちゃんは自他共に認めるナルシストなのである。

自意識過剰とかだと嫌われる傾向にあるが、環奈ちゃんは確かに可愛いので言い返せない。

ナルシストな性格も愛嬌ということになり、あっという間にクラスに浸透していた。

もう、環奈ちゃんがナルシスト発言しても、軽く流す人ばかりである。