【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。



恥ずかしさが伝染して、みるみるうちに頰が熱くなっていく。


「あの、あまりお世辞を言われ慣れていなくて……上手に返せなくて、ごめんなさい」

「お世辞じゃないですって、もう」


那月君は、愛おしそうに見つめてくる。
その瞳に見つめられると、胸が高鳴って仕方ない。


「先輩と飲めるの、楽しみにしてます」

「うん、私も……」

「先輩が酔ったところ、早く見てみたいです」

「那月くん、悪趣味……」

「大丈夫です。先輩が酔っても、俺が責任とりますから」


再び返答に困ってしまい、顔の火照りを冷ますためデザートに添えられているアイスを頬張った。



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食事を終えて、那月くんの家に向かう。

途中薬局に寄ってもらって、メイク落としや下着を購入した。



やってきた那月君の家に、私は唖然としてしまった。

都内の高層マンション。階は中層ながらも、二十六の男性が一人暮らしするには普通手の届かない場所だ。

うちの会社の営業企画部って、そんなに手取りいいの?と驚いてしまう。


確かに、国内でも有名な大手企業だし、給与は良い方ではあると思うけど、桁違いな気がした。


「スリッパどうぞ」


ありがたく貸してもらって中に入ると、勿論内装も素敵だった。