恥ずかしさが伝染して、みるみるうちに頰が熱くなっていく。
「あの、あまりお世辞を言われ慣れていなくて……上手に返せなくて、ごめんなさい」
「お世辞じゃないですって、もう」
那月君は、愛おしそうに見つめてくる。
その瞳に見つめられると、胸が高鳴って仕方ない。
「先輩と飲めるの、楽しみにしてます」
「うん、私も……」
「先輩が酔ったところ、早く見てみたいです」
「那月くん、悪趣味……」
「大丈夫です。先輩が酔っても、俺が責任とりますから」
再び返答に困ってしまい、顔の火照りを冷ますためデザートに添えられているアイスを頬張った。
****
食事を終えて、那月くんの家に向かう。
途中薬局に寄ってもらって、メイク落としや下着を購入した。
やってきた那月君の家に、私は唖然としてしまった。
都内の高層マンション。階は中層ながらも、二十六の男性が一人暮らしするには普通手の届かない場所だ。
うちの会社の営業企画部って、そんなに手取りいいの?と驚いてしまう。
確かに、国内でも有名な大手企業だし、給与は良い方ではあると思うけど、桁違いな気がした。
「スリッパどうぞ」
ありがたく貸してもらって中に入ると、勿論内装も素敵だった。

