百合花さんは突然立ち上がったかと思うと、俺の隣に座った。
「桐生さん、連れてきてくださいぃ……!」
潤んだ瞳で俺を見つめて、腕を掴んできた百合花さん。
思わず、ごくりと喉を鳴らせてしまう。
「落ち着いてください、百合花さん」
可愛いけど、那月さんを求めてこの顔をしていると思うとやっぱり腹立たしい。
どうすれば、この人の頭の中を独占できるだろう。
「俺がいるじゃないですか」
「那月くんじゃないと嫌です」
「連れないなぁ……」
即答されて、柄にもなく傷ついた。
「じゃあ、俺のこと那月さんだと思ってください」
酔ってる人相手に何を言ってるんだろうと思う。もしかして、俺も酔いが回っているのかもしれない。
「那月くんはひとりしかいません……」
那月くん那月くんって、そればっかりだな……。
「そんなに好きなんですね」
俺の言葉に、百合花さんはこくりと頷いた。
そして、ふにゃりと目尻を下げる。

