【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。



いちいちときめいてる自分が気持ち悪いけど、これは不可抗力だと言わせてほしい。

アドバイスとか、那月さんに塩を送るみたいだけど……ここは頼れる男ポジを狙えるチャンス。


「ね、いっぱいくらい飲みません?」

「え?」

「せっかくですし」


体質的に合わないとかなら、飲みながら話したい話題だ。
百合花さんの新しい一面も見てみたいし。

悩んでいるのか、じっと動かなくなった百合花さん。


「なら……一杯だけ……」












飲み始めてから、まだ5分も経っていない。

それなのに、俺の目の前にいる百合花さんは完全に酔いが回っていた。


「那月くん、あと二週間も出張なんです……」


目をとろんとさせながら、涙を浮かべている。


「さみしいですか?」

「さみしいです……」


まさか、ここまで弱いとは……。

ひとくちふたくち飲んだ段階で、豹変してしまった。

いつもは隙を見せないようにか、キリッとしているのに、今の百合花さんはふわっふわしている。

話し方も甘えた感じだし、俺を見つめてくる瞳は潤んでる。


「那月くんに会いたいです……」


そんな顔で他の男の名前を呼ぶなんて、罪な人だなぁと思った。

いっそ腹がたつくらいかっわいいな……。