【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。




しっかりしろ、私……!

あとたった二週間。乗り切れば、いつもの日常が戻ってくるんだ。
だから……那月くんのことを困らせるようなことは言わないし、耐えられる。

そう自分に言い聞かせてから、眠る支度をするためバスルームへ向かった。









「先輩」


仕事が片付きそろそろ帰ろうと思っていた時に、桐生さんから声をかけられた。


「はい、どうしましたか?」


最近、桐生さんは私のことを先輩と呼ぶようになった。

別に構わないし、人前では名前で呼ばないでと言ったのは私だけど……その呼び方をするのは那月くんだけだったから、変な感じがしてしまう。


「今日、この後時間ありますか?」

「え?」


もう定時なのにそんなことを聞いてくるってことは、残業でも手伝ってほしいのかな。
最近企画の方も立て込んでいるみたいだし、毎日営業同行もしていて見るからに多忙な桐生さん。

残業は平気だから、私に手伝えることがあるなら残ろう。


「はい、もう用事はありません」

「ほんとですか? なら、食事、行きません?」


返って来た言葉に、肩透かしを食らう。

しょ、食事?