【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。



「那月さん、出張決まったそうですね」


月曜日。休憩しようとオフィスを出た時、後ろから声をかけられた。
振り返ると、桐生さんの姿が。


「……はい、そうみたいです。桐生さんも休憩ですか?」

「俺は百合花さんが出て行くのが見えたので、追いかけてきただけです。休憩がてら」


口角を上げ、意味深な笑みを浮かべている桐生さん。

追いかけてきた?もしかして、那月くんとのことをからかうためだけに……?
き、桐生さんって、暇なのかな……?

移動してきて間もないし、そんなはずはないと思うんだけど……。


「一ヶ月って書いてあったの見ました。もしかして、昨日見送りに行ったんですか?」

「はい」


桐生さんの言う通り……と言っても、金、土と那月くんのお家に泊まって、昨日駅まで見送りに行った。

一ヶ月会えないとわかっていたから、二日間はずっとふたりで過ごした。
初めての夜以来……お泊まりの日は、いつも私を求めてくれる那月くん。
昨日一昨日も例外ではなく、思い出すだけで恥ずかしくなった。……まだ、慣れそうにない。

たくさん甘やかしてもらったから、次に会う日まで寂しさも我慢できる。