【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。




「そんなこと言われたら、何も言えなくなります」


那月くんは甘い声で囁いて、顔中にキスをしてきた。
恥ずかしさは限界値に達して、思わず那月くんの体を押しのける。……ただの、照れ隠し。


「あ、あの、出張はいつからなの?」

「明々後日の日曜に行きます」

「そうなんだ……」


思ってた以上にすぐだ……。


「あの、明日の金曜日……泊まりにきませんか?」


那月くんは、私の髪を優しく撫でた。


「会えない分、ふたりで過ごしたいです」

「うん」


私も、一ヶ月分那月くんを充電させてほしい。
金曜日は、たくさん甘えてもいいかな……。


「それと……」


まだ何かあるのかなと、那月くんをじっと見る。


「いや、これは出張から帰ってきたら話します」

「な、何?気になる……」


言いかけてやめた那月くん。じれったくて追求したけれど、答えてくれる気はないのか、那月くんは意味深な笑みを浮かべた。


「秘密です。楽しみにしててください」


楽しみにってことは、悪い話ではないのかな……?

安心して、再び那月くんの胸に頭を預けた。


「気をつけて行ってきてください」

「はい」