突然でた桐生さんの名前に困惑して、目を瞬かせる。
「あいつ……絶対に百合花さんのこと狙ってます」
「ふふっ、ありえません」
目を細めた那月くんに、思わず笑ってしまった。
「じ、実は、桐生さんは私と那月くんのこと、知ってたみたいで……」
「そりゃあ、俺たちの関係は社内じゃ有名みたいですから」
「俺が広めたようなものですけど」と、なぜか自慢げな那月くんが可愛い。
「あの、だから、絶対にないと思う。桐生さん、私のこと変な人だって言っていたし」
「……それ聞いて、ますます心配になりました」
那月くんは、「はぁ……」と深々とため息を吐いている。
安心してもらいたかったのに、逆効果だったみたい。
心配してくれる気持ちは嬉しいけど、本当に心配はいらないのに……。
「も、もしそうだとしても……私には、那月くんだけ」
どんな人が現れたとしても、心が揺らぐことはない。
移り気な人の心を証明できるすべはないけれど、誓ってそう言える。
自分に自信が持てない私でも、那月くんへの気持ちの大きさだけには自信があった。
「あーもう……可愛い」
一瞬触れ合うだけのキスが降ってきて、驚いていると今度は押し付けるようなキスをされた。

