「帰ってきたら、すぐに会いたいです」
赤くなっている顔を見られるのは恥ずかしいから、那月くんの胸に顔を押し付けた。
「仕事が嫌だなんて思ったの、初めてです」
那月くんの発言に、ちらりと視線をあげる。
「……百合花さん、最近素直になりましたよね」
愛おしげに私を見つめる那月くんと目が合って、心臓が大きく跳ね上がった。
那月くんは腕に力を込めて、私を抱きしめ返してくれる。
「今までも限りなく可愛かったのに、ますます可愛くて……俺困ります」
私を照れさせる意図でもあるのかと思うほどの甘い台詞をさらりと口にする那月くんを前に、感情をコントロールできるわけがない。
「はぁ……行きたくない」
耳にかかったため息がくすぐったくて、身をよじった。
那月くんの腕の中は、私に安らぎをくれる。
今まで、ひとりでも平気だったのに……
一ヶ月間この温もりを感じられないと思うだけで、寂しさが溢れた。
「しかも、こんな時期に出張とか……気が気じゃないですよ」
「こんな時期?」
別に珍しい時期でもないと思うけれど……?
「桐生ですよ」
那月くんは、眉をひそめてそう言った。

