【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。


「一ヶ月……そうなんだ」


結構長い……。
付き合ってから、那月くんと一ヶ月も離れたことがないから、率直に寂しさを感じた。


「その間、百合花さんに会えなくなるので……先に伝えておこうと思って」

「ありがとうございます。頑張ってきてください」


那月くんの仕事を応援したい気持ちが一番だから、そう言って笑顔を贈った。

那月くんも、微笑んで「ありがとうございます」と返してくれる。

私も那月くんがいない一ヶ月、仕事に励もう。
入社したての時のような、精錬恪勤な日々もたまには必要だ。

ひとり意気込んでいると、何やら那月くんがじっと私を見つめていることに気づいた。


「さみしいですか?」

「え……」


唐突な質問に、驚き戸惑う。
そんなわかりきっていること……と思ったけど、今まで素直に気持ちを伝えるという努力を怠っていた私は、那月くんにとってはわかりにくい女だと思う。
口に出さなきゃ、伝わらない。

少しずつ、那月くんにふさわしい人間になるって決めたから……。


「さ、さみしいです……」


恥ずかしいから、さすがに目を見ては言えなかった。
代わりに、もう少し素直になってみる。

那月くんに、そっと自分から体を寄せた。