あれから、一ヶ月が経った。

最近は週に二度は仕事終わりに那月くんと食事をしている。
今日も、会社の裏口で待ち合わせをしていた。

仕事が終わって、急いで待ち合わせ場所に向かうと、すでに那月くんが待ってくれていた。


「百合花さん、お疲れ様です」


那月くんとの交際は、怖いくらい順調だと思う。
この幸せが、ずっと続けばいいのに……。

そんなことを思ってしまうくらい、那月くんといられる今がたまらなく幸せだった。







「営業部に異動してくる桐生(きりゅう)さんって知ってる?」


その日は朝から、その話題で持ちきりだった。


「大学同じな子が言ってたんだけど、超イケメンなんだって」

「楽しみ……!」


総務と営業は同じオフィスだから、関わりも深い。

かっこいい子が入るという噂が流れていて、女性社員はみんな浮き足立っていた。

私はあまり他の社員との関わりも薄いから、関係ない話。

この時までは、そう思っていた……。






「今日から営業部に異動してきた、桐生くんだ」


翌日、本当に容姿の整った人が異動してきた。

オフィス内の朝礼で紹介された彼を見て、女性社員はみんな目をハートにしている。