【完】悪名高い高嶺の花の素顔は、一途で、恋愛初心者で。



ふ、不意打ちだ。


「もっとまっすぐに、先輩だけを信じられる男になります……ごめんなさい」


お昼休み、那月くんの気持ちがわからなくて落ち込んでいたのが嘘みたいに、今はその言葉を素直に受け止められた。
那月くんに愛されているという自覚が持てたからかもしれない。

私の方こそごめんね、那月くん。少しでも那月くんのことを疑って……別れ話をされるんじゃないかって、怯えて臆病になって。

もう、こんなすれ違いはしたくない……。

これからは、どんなことでも正直に伝えよう。那月くんを、不安にさせたくない。


「先輩が今まで付き合ってきたどんな相手にも負けません」


那月くんが発したその言葉に、ドキッとした。

そうだ、まだその話が残っていたんだ……。

社長の誤解は解けたとしても、私がいろんな人と付き合ってきたっていう誤解が解けたわけじゃない。

もう、話すなら今しかない。


意を決して、恐る恐る唇を開く。


「あの、それについてもなんだけどね……」

「それ?」

「えっと、私の噂はどこまで知ってるかな……?」


私の質問に、那月くんが顔を顰める。

気まずそうに視線を逸らし、「えっと」と考え込んだ那月くん。きっと、私を傷つけないように言葉を選んでくれているに違いない。


「愛人がたくさんいるとか、社長キラーだとか……」


那月くんに気を使わせてしまう前に、私から聞いた。

視線が揺らいだのを確認し、図星だと確信する。