「ち、違います!別れ話をしようなんて思ってません!」



「本当ですか?でも、敬語……」

「こ、これは、那月くんが怒ってると、思っていたから」


つい、敬語になってしまっただけで……。

私の返事に、那月くんが眉を顰めた。


「そうですよね。そう思われても仕方ないですよね」


那月くんの表情からは、罪悪感を感じているように見て取れた。

責めたい訳ではなかったから、私の中にも同じ感情が生まれる。


「あ、あの、ゆっくり話そう?お互い、言葉足らずだと思う」


私たちに今必要なのは、お互いの言葉だと思った。


「……いえ、全部俺が……」


那月くんはぼそりと呟いて一度黙り込んだ後、再びゆっくりと口を開いた。


「俺から話してもいいですか?」


下手にでるようにお願いされ、断る理由もなく首を縦に振った。

那月くんの話、聞かせてほしい……。


「先輩のこと、疑ってるわけじゃないんですけど……」


私はじっと、話し始めた那月くんを見つめる。


「社長との関係が、ずっと気になっていました」


社長との関係?