「いいからやっとけ」

「わっ…!」

そんな嘘か本当かわからない駿のいうことなんて信じる気はなかったけど、無理矢理にも冷たいタオルを私の目に当てるからただやられるがまま、時間は過ぎていって。

「あ…、少しひいた?腫れ」

「あぁ、少しな」

「そっか…。よかった」

あのままの顔でリビングに降りていたらきっとお母さんにもお父さんにもそして真にも変に見られて問い詰められていただろう。


駿はきっとそれがわかっていて―…


「ありがとう、駿」

「なにが」

「ふふっ。相変わらずだなぁ」

お礼を言ったって駿は素直に受け取るわけないけど、私はありがとうをもう一度言う。
後ろ髪をくしゃっとかきあげるその姿は照れ隠しで。

「飯、用意してあったぞ」

「じゃあ行こ」

私はタオルを持ち立ち上がり、駿とともに部屋を出た。