「お前、目…」

あれから当分の間一人で、泣いていたんだ。
目だって腫れているだろう。

私はなにも言えずに駿から目を逸らす。
だけど駿はそんな私に何も言わないで部屋の中まで連れ戻して。

「ここで、待ってて」

「え?」

「まだ下降りてくんな」

私の気持ちなんて知っているわけないのに。
なのにどこか駿はわかっているような気がして。

それでも私を支えてくれて。

私は駿に言われた通り大人しく部屋で待つことにした。
そして数分が経ったころ、再度私の扉が開いた。

「ん、これ」

「なに…これ」

ほら、と言って渡されたのは、キンキンに冷えたタオルと温かいタオルで。

「これ交互に目に当てると腫れが収まるってどっかの漫画に描いてあった」

「へ、へぇ。なにそのデタラメみたいなやつ」