「…心?」

「えっあ、…」

ぼーっとしていた私の前に手を振る真。

「…先、帰る」

「あ、待てよ心」

「…なに、」

パシッと掴まれた腕が、熱い。
早く、早く離してほしくて振り向きそいつの言葉を待つ。

「今日さ、栞も一緒にご飯食べるから」

「…っ」

放たれた言葉に驚きを隠せなかった私はただ目を見開くことしかできなくて。

「わかったから…早く離して」

目線を下げて、顔を伏せて小さな声で言うと聞こえたのか真は、ん、と言って掴んでいた腕を離し解放してくれた。

そして私はその場に、駿さえ残して家に入っていった。