「おーい、心起きてんの?」

「…っわ!うそ、今何時!?」

朝、目が覚めたのと同時に聞こえてきたのはドア越しに私の名前を呼ぶ幼馴染の声。

「今七時。あと十分で出ないと間に合わないけど」

「嘘でしょ!なんでもっと早く起こしてくれなかったのよ駿―!」

幼馴染の松永駿(マツナガシュン)に文句を言いながらベッドから体を起こしハンガーにかかっている制服に腕を通す。

「わあぁ!髪の毛がっっ」

「入るぞ」

「わっちょ、駿!着替えてたらどうするのよっ!」

「今更お前の見てもな。気にすんなって」

「いやいや、そういう問題じゃないんだけど…」

まったくこいつは、お年頃の乙女だってことをわかっているのだろうか。

「さっさと座れ」

「え?」

「ん」

怒りながらも、首を傾げると鏡の前に立っていた駿はゴムとブラシを手に持っていて。