あの日、家に帰るとお母さんは泣いていて家の中にいるはずの真の姿は、なかった。探しても探しても、名前をどんなに呼んでも真は返事をしてくれなくて。
あぁ、いないんだ。
そう実感できたのは、そう簡単なことじゃなかった。
来る日も来る日も真の面影ばかり追って、探して。
いつか帰ってくる。そう信じ続けて数年。真はなんの悪びれもなく笑顔で帰ってきて。
私だけが知らない。
私だけが、なにも知らされていない。
お母さんもお父さんも知っているのに。
家族じゃない、駿まで知っているのに。
私は、双子の私はなにも知らない。
そんな真の、秘密が、隠されていた秘密の原因が、私だったなんて―…
「うそ、でしょ…?」
「本当だよ」
そんなの、嘘だと、言ってほしかった。

