「なあ。心」

「ん?」

指と指を絡ませるかのように握ってくる真。私はドキドキしながらもぎゅっと握り返す。

「今から少し、大事な話してもいい?」

ずっと手を見ていた目線を、その言葉が耳に届いた瞬間ゆっくりと上げる。そして目がまたバチっと合ったとき、真は私を逃がさないかのような瞳でじっと見つめゆっくりと言葉を続けた。


「…心さ、さっき栞のこと好きかって聞いただろ?俺に」

「えっ…あ、うん?」

「すぐに答えられなかったのはさ、まだ自分の中で決着がついていないからなんだ」

「…決着?」

「そう。決着」

意味のわからない会話に私がはてなを浮かべると真はうん、と言って笑う。そしてこの一周回るのが60分ある観覧車の中で、ただただ低く落ち着いた声が響き渡っていた。