「うん、駿が一番」

今までに知らない駿のこの姿がなぜか可愛いと思って。自分から目の前にあった駿の手を握った。

「ありがとう、駿。ありがとう」

きっと今だって駿は傷ついているかもしれない。真を想う私を見て、いい気分ではないかもしれない。

それでも、駿はいつだって私を優先してくれて支えてくれて。

「行ってくるね」

「おう、なんかあったら連絡しな」

「うん。わかった」

まだ、駿に全てを返すことはできないけれど。前に進む方法を見つけている最中だから、まだ。無理だけど。

きっと返すから。

ちゃんと、駿にこの気持ちを返すから。

だからもう少し待って。


もう少し、まだ弱い私を支えていて。




私は駿に手を振り、待ち合わせの駅へと向かった―…