「わ…っ」
目の前にいた驚かせてきた男の子がこの光景を見て顔を真っ赤に染めているのがわかるくらい、今この部屋は明るくて。
「こいつの代わり誰かやっといて」
そういってポンっと私がつけていたウィッグを取り床に落とし歩いていく。
「えっ…!?松永くんと椎名さんっ!?」
「なんで松永くんが…っ!?」
廊下に出るとそこは、今まで暗闇にいたからこそ感じる眩しさで。
「ひゅーひゅー!」
「いいねいいね、お似合いだよー!」
学校の子とは別に、文化祭を見に来ている男子たちが私たちの格好を見て冷やかしてくるのが耳に届く。
まぁそれもそのはずだよね。
だって今私は駿の首に腕を巻き付いて駿は私を抱きかかえていて。
所謂お姫様抱っこをされているのだから。
だけど恥ずかしい気持ち、あるわけなくて。
「駿、ありがと…」
私はそれだけ言うと、駿の腕の中でいつの間にか気を失ってしまっていた。

