理解できない会話が私の前で繰り広げられていて。
…捨てた?
なにを?真はなにを捨ててきたの?
聞こうとしても聞けないその二人の空気感は独特で。
「あぁ、言い忘れてた。俺文化祭一緒に回れなくなっちゃったんだ心。ごめんな」
「えっ、なんで…」
いきなり振られた話に驚いて声をあげると、真は満面の笑みを浮かべて私を見ていて。
「栞が、来れることになったからさ。俺が案内してやろうと思って」
悪びれた口調でもなく、喜んでいるであろう口調でそう私と駿に告げて。
「あぁ、なら仕方ないか。な、心―…」
納得している駿に対して私はすぐにうん、なんて言えなくて。
「…わかった」
真から、駿から目線を外してそういって背中を向け歩き始める。
わかってるよ。
幼馴染と妹より彼女を優先することが普通だってこと。
だって栞さんあんなに来たがっていたもん。

