「心っ」
「え、っ」
背中を向けたまま、肩を掴まれ耳元には真の顔があるのがわかって。
「な、なに…」
もうこれ以上、ドキドキさせないで。隠すのが、…苦しい。
そう思いながらもその気持ちがなぜか嬉しさもあって。
「ごめん、貞子の衣装だってわかってんだけど…。それ、お前。可愛すぎる」
「えっ…は!?」
「周りの男子だってお前のこと可愛いと思ってみてる。あんま、心配かけさせんなよ…」
「し、心配って…な、なんで…?」
「それは―…「心」
耳元で言われた可愛いの言葉が、さっきまで熱くなっていた私の体をまた熱くさせて。
近かった顔が、ぱっと離れたのは前から私の名を呼ぶ駿の声が聞こえたからだった。

