そういって真の手を離そうとするが、ぎゅっと握られて離してはくれず。
「今度家でもワンピース着て」
「…え、なんで」
「俺お前のズボン姿しか見たことねぇもん」
あぁ、たしかに。
自分からは滅多にスカートなんて履かないから。昔は、よく履いていたけどさ。
「うん、わかったから離して。行かないと」
行く、行かない、の前にもう心臓が壊れそうなほどドキドキしていて。
握られた腕からくる熱が体中に充満していくのがわかって。
「おぉ、じゃあな」
「うん、またね」
結局なにが目的だったのだろうか。
そう思いながら離してくれた手があった場所を擦りながら、真とは反対側を歩く。
だけどその足はまたすぐに止まって。

