「こわーくなるようにメイクしよう!お化け役だもん!モデルじゃないんだよ!可愛いけど!可愛いけどね!!」
なんでそんなに、協調してくるのか。もしかして少し怒っているのか。
その子は私の手を取り歩き出す。
「えっ、どこに…!?」
「どこって、みんなに見てもらわないとでしょう?」
「…いやでも」
「まあ今見たってお化け役じゃないから。モテるだけだろうけどね…」
「いや…あの…」
ぼそぼそ言いながらも私の手を離してくれる気配はなくて。
お化けに見えないのなら、貞子に見えないのならわざわざみんなに見せにいく必要なん
てないのに。
そう思うのに彼女はどんどんと足を進めていくし、歩いているうちに周りの人たちにな
んかジロジロ見られるのがわかるし。
早く教室について…!
そう思ったとき後ろからぐいっと掴まれた手に足が、止まった。

