「ね…ねぇ」
「んー?着れたー?」
更衣室に向かう途中、実行委員の子と遭遇して一緒に行くことになり入るや否や、速攻で白いワンピースを渡される。
「後ろ…届かない」
「え?…っあははっなにそれ可愛すぎるよ椎名さん」
チャックが後ろにある形のワンピースで、腕が短い私には届かず困っていた私に声を出して笑いながらも優しくあげてくれ、ありがとうとお礼を言う。
「んー…やっぱりこのままじゃ可愛さだけあるよね」
「…え?」
「白いワンピース似合いすぎだしこれじゃあ貞子っていう雰囲気でないし!」
「え…えぇ…っと?」
「ウィッグ被ってもただただ可愛いし…もうなにこの生き物。可愛いしお化けじゃないし」
「ね、ねえ何言ってんの…、大丈夫?」
「やっぱり当日はメイクしようか!」
「…!?は?」
私の話なんて一切聞いていなかっただろうその子は、ぱっと思いついたかのように顔をあげてキラキラの目で私を見る。

