この二人に囲まれたら、もうそんな願い届くはずもなくて。
「まあ…あんたたちの人気度には負けますわ」
そういって駿から目を逸らし見つめる先は、駿のことを陰から見ている後輩や他クラスの子たちで。
「まあ、俺の場合は自分から目立っちゃうしね」
「…は?」
そういうと駿はきゃーと言っている女の子たちに向けて手を挙げて優しい笑みを見せて笑う。
あぁ…本当、こういうところ。
真にもそっくりだなぁ。
きっと廊下に出たら隣のクラスにはこれと同じか少し多いくらいの女子たちが殺到しているのだろう。
彼女がいるとみんな知っているはずなのにそれは衰えることを知らなくて。
「じゃあ駿、裏方頑張ってね」
地道に黒く塗っていく作業をしている駿の肩をぽんっと叩き私は更衣室へと向かった。

