4,5人お化け役がいる中、なぜかみんなの推薦で選ばれた私が貞子役をやることになってしまって。
「…いじめられてんのかな私」
「可愛さに気付いたんじゃない?」
サラッというその言葉にえ、と口が止まって。だけど駿は手を一切止めることはしなくて。
「なに、いきなり」
「いやいや本当のことだって。お前最近男子の的になってんの知ってる?」
「え…知らない」
「“真の双子”だって。すげぇ人気だよ」
初耳、だった。
いつも駿と一緒にいるから、女の子たちとかと一緒にいたことないし周りにもあまり興味がないからそういったことに鈍い私は本当に何も知らなくて。
「真の双子、かぁ」
真は入ってきた時からすごい人気で。
イケメンで成績優秀でそれはもうこの今目の前にいる駿を超えるくらいの人気さで。
真の双子と知られてから、私の人生は狂い始めてたのは確かだった。
静かに暮らしたい、それが願いだったのに。
いやまあ駿の隣にいればそれは無理なんだろう、けど。

