だが、俺が知ったことか。


「どうせ、俺が採用かどうか決めるんだ、ここで決めたって良いだろう。それに、拓哉が覚えているくらいだ。それなりの優等生なんだろ?」

「…確かに、佑真君は面接役員からの評判も良かったが…」

俺が言い出したことを必ず実行する男だと理解している拓哉は、既に諦めの表情だった。

それを確認すると、俺はソファにドカッと腰掛ける。

そして、佑真に視線を送った。


「さて、どうする?」

「…っ」

俺の問いに、心底嫌そうな顔をする佑真。


だが、

この就職難な世の中で、しかも、俺の会社は他社よりも割りと高収入。

こんな美味しい話を蹴る程、佑真も馬鹿ではないだろう。