今朝、俺は結衣を叱るつもりでいた。 「雇い主に何をやらせてるんだ」と。 でも美味そうな匂いのせいで、そんな事はどうでもよくなった。 おまけに、いつもは珈琲だけで済ませる朝食も、今日はばっちり完食してしまった。 「はぁ…」 俺は社長の席で、肩肘で頬杖を付き、今日の会議の資料を読み直しながら、深く溜息をついていた。 結衣が来てまだ1日も経っていないというのに、ここまで乱されるなんて。 (俺はきっと疲れてるんだな…) 俺は、最近詰めすぎていた仕事を言い訳に、自分に言い聞かせる。