─体育館
「こんにちはー!」
挨拶しながら体育館に入る。
夏休みは体操服で登校するから部室には寄らない。
荷物も体育館のステージ上に置いておく。
「光葵……!」
心春が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「どうかした?」
「バスケットボールが……」
バスケットボールを置いている棚の回りには、部員が集まっていた。
私は急いで荷物をステージに置いて棚に駆け寄る。
「どうしたの……─」
バスケットボールが2つ、裂けていた。
めちゃくちゃにされている。
「………誰だよ。こんなことしたヤツ」
とても光陽の声とは思えない、光陽の低い声。
光陽が放課後ボールを磨いているのはよく見かけた。
光陽は、道具をとても大事にする人。
こんなこと、許せるわけない。
「私、麗美を昨日の放課後体育館で見かけたんだけど、ボールを裂いていたんだじゃないの?」
心春が言った。



